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腹腔鏡ヘルニアセンター

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教えて!「鼠径(そけい)ヘルニア」



1. 「鼠径ヘルニア・脱腸」とはどのような病気なのでしょうか?

「脱腸」と「鼠径ヘルニア」は同じ病気です。
一般的には「脱腸」と呼ばれていますが、医学的病名は「鼠径ヘルニア」となるのです。

一般に理解されている「脱腸」とは、医学的には「鼠径ヘルニア」と呼ばれる病気です。つまり、「鼠径ヘルニア」と「脱腸」は同じ病気です。医学的には、「ヘルニア」とは「何かの組織が飛び出る」ことをいいます。「鼠径ヘルニア」とは、筋肉などが弱くなったり薄くなることで、筋肉のつなぎ目の部位に穴が開き、小腸などの臓器が外に飛び出してしまう病気です。

腰のヘルニアとは違うのでしょうか?

ヘルニアと言うと、「腰が痛いですか?」などと言われますが、医学的に「ヘルニア」というのは「何かの組織が飛び出る」症状のことを指します。よく耳にする腰のヘルニアというのは「椎間板ヘルニア」のことで、整形外科の病気です。ヘルニアとして椎間板と呼ばれる組織が飛び出ることで、腰や足に痛みが出る病気です。外科で治療する腸などが飛び出る「鼠径ヘルニア」はおなかの病気、整形外科の「椎間板ヘルニア」は背中の病気で、まったく異なった病気です。

鼠径ヘルニアはお腹の病気で、外科での治療となります。

どのような原因で起こるのでしょうか?

「鼠径ヘルニア」は、高齢者を中心に、年齢・性別関係なく誰にでも起こりうる病気です。

成人の「鼠径ヘルニア」では、加齢に伴って筋肉が弱くなったり、メタボリックなどによりおなかの中の脂肪が増えたり、重いものを持ったりして腹部に大きな力が加わったりすることでおなかの圧力が高まり、筋肉の隙間に穴が開いてしまう場合が最も多いといわれています。成人では穴を閉じるとともに、周囲の組織を補強する必要があります。

幼児や小児期では筋肉の成長がまだ不十分ですので、まだ成長していない弱い筋肉の隙間から腸が飛び出る「小児の鼠径ヘルニア」があります。子どものヘルニア治療は成人の治療とは異なり、腸の飛び出る出口を糸でしばって閉じるだけで手術が完了します。小児では穴を一時的に閉じれば、子供が成長するとともに完全に治ってしまいます。

いくつかの筋肉と筋肉のつなぎ目は、すべての人がたくさん持っています。従って、同時にヘルニア・脱腸となる穴が2~3個ある患者さんもいます。女性では「鼠径ヘルニア」は男性より少ない傾向にありますが、過去の妊娠などが影響して起こる穴もあります。要するに、「鼠径ヘルニア」とは、男性でも女性でも下腹部の筋肉が緩んだり弱くなったりすることで、筋肉のつなぎ目の部位に穴が開いてトンネルができ、おなかの中の腸管や卵巣、脂肪などが飛び出してくる病気なのです。

どのような症状があるのでしょうか?

鼠径ヘルニアは決して怖い病気ではありません。お腹の弱い部分に穴が開いているだけなので、日常的に痛みを伴うことは少ないようです。
ただそれゆえに、自覚症状がなかったり、放置している方も多いと思われます。具体的な症状があるとするなら、お腹を引っ張られるような痛みがあったり、下腹部の一部分がプックリ膨らんでいるといった場合です。

2.「鼠径ヘルニア」 をそのまま放置するとどうなりますか?

図1

「鼠径ヘルニア」を放置していると、図1のように穴は時間とともに次第に大きくなり、体の外にある睾丸に向かってだんだん下がって大きく膨らんで行きます。穴が大きくなればたくさんの腸が飛び出すようになり、時には飛び出た腸管がおなかの中に戻らなくなることがあります。このような状態をカントン(嵌頓)といいます。

嵌頓(かんとん)が起こるとどうなるのですか?

カントン(嵌頓)が起こると腸閉塞や腸管の血流障害を起こす場合や、女性では卵巣がはまってしまう場合があります。突然激しくおなかが痛くなり、救急車で来院されて緊急手術になる患者さんが年間に何人もいらっしゃいます。最悪の場合には、カントン(嵌頓)して飛び出た腸や卵巣が腐ってしまい、腸管や卵巣の切除、さらには命にかかわる緊急手術となる場合もあります。

「鼠径ヘルニア」はおなかの弱い部分に穴が開いているだけの病気であり、腸などの臓器がカントン(嵌頓)しなければ日常的には痛みを伴いません。カントン(嵌頓)しなければ決して怖い病気ではありませんが、痛みがないので放置される場合も多いと思われます。しかしながら、決して「鼠径ヘルニア」は自然に治ることはなく、ゆっくりと進行して穴は大きく、深くなっていきます。

脱腸帯と呼ばれるヘルニアバンドで圧迫固定している患者さんもいらっしゃいますが、脱腸帯が時にはカントン(嵌頓)を誘発する危険性もあり注意が必要です。早めに待機的に手術治療を行う場合は、この穴を閉じるだけの手術になりますが、痛みが出てカントン(嵌頓)状態で緊急手術をする場合には、腸を切り取らなければいけない場合もあり、大手術となってしまうこともあるのです。

下腹部の膨らみがあったり「鼠径ヘルニア」が疑われたりする時は、専門の医療機関に一度相談してください。

立っているときの「鼠径ヘルニア」の状態

図2

図2は立っているときの状態です。おなかの中の腸が膨らんで外に出ています。ねじれたり、血流障害がなければ一般的にあまり痛みはありません。腸管などの脱出で下腹部が膨らんでいるだけであれば、おなかの中の腸がヘルニアの穴の中に移動しただけですので、大きな心配はありません。

「鼠径ヘルニア」では、脱出した小腸などの臓器が圧迫される違和感や立位・歩行時に時々起こる痛み、引っ張られているような不快感を伴う場合があります。

移動した腸の病気ではなく、穴が開いている袋に腸が移動しただけの状態です。無理に押し込むことはせずに、そのままの状態で生活していても大丈夫です。

寝ているときの「鼠径ヘルニア」の状態

図3

図3は寝ている状態です。一般的に、仰向けに寝ることで腸管などはおなかの中に戻りますので、痛みや不快感が全くなくなってしまうのが「鼠径ヘルニア」の特徴です。

寝ている状態では腹部は平たんになっていますが、おなかに力を入れると、図3の様におなかの中の腸管などが脱出してきて膨隆してきます。

引っ張られるようなおなかの痛みが継続する場合や、膨らんだ腸がいつもと違って戻らなくなった場合には、すぐさま仰向けに寝て膝を曲げ、おなかの力を抜いて腸管を戻しておくことをおすすめします。このような自覚症状のある場合は、早めの手術治療の対象となります。早期に専門の医療機関に一度相談してください。

カントン(嵌頓)した「鼠径ヘルニア」の状態

図4

図4はカントン(嵌頓)した状態です。腸管などが出たままになり、血流障害で腸管の色が変わってしまっています。このような患者さんは救急車で来院され、緊急手術となることが多くあります。 この場合、一般的な治療ではなく腸管を切除するなどの命にかかわるような大きな手術になってしまうこともあります。

下腹部で膨らんでいる部分の痛みが継続しているときに、仰向けに寝ても腸管脱出の膨らみが戻らなくて強い痛みがあるときには、できる限り早期に病院で診察を受けてください。早期に治療すれば、腸管の壊死や腹膜炎などの緊急手術を防止することができます。

3. 「鼠径ヘルニア」の治療法とは?

「鼠径ヘルニア」は、薬では治療できません。治療法は手術だけです。

手術にはいくつかの方法があり、病院によってさまざま手術法が選択されています。当院は「腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(TAPP法)」(ラパヘル)を中心に治療をしている病院です。患者さんの状態によっては、「鼠径部切開メッシュ法」を行っています。手術の方法は異なっても、筋肉のつなぎ目に開いた穴を閉じて周囲の筋肉を補強して修復するという目的は同じです。

従来の「鼠径部切開メッシュ法」は、下腹部に7~10cm程切開して治療します。手術後はある程度の痛みや比較的強い突っ張り感がしばらく続く場合もあります。一般的には、一カ月ほど激しい運動禁止制限がかかります。一般的には、腰椎麻酔、局所麻酔での手術となります。

「腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(TAPP法)」(ラパヘル)は、基本的に5、5、3mmの非常に小さな穴から内視鏡を使用して、おなかの中から治療する手術です。全身麻酔で眠っている間に、1時間前後で手術は終了します。傷が小さいことから、手術後の痛みが少なく、最小の切開創で手術を行いますので、傷跡はほとんど残りません。傷が小さいため術後の回復が早く、手術後の痛みが極めて少ないことが特徴です。切開手術とは異なり、手術後3~5日目にはゴルフやジョギング、畑仕事などが開始できます。

4.名豊病院の強み

名豊病院での鼠径ヘルニア治療 ここがポイント!

1.5,000件以上の腹腔鏡によるヘルニア手術経験を有する専門医が執刀

2.全身麻酔で約1時間ほどで終了

3.術後の痛み、傷跡はほとんどなく、早期に社会復帰

4.再発や合併症リスクも非常に少ない


鼠径ヘルニア手術にはいくつか方法がありますが、当院では腹腔鏡下手術(ラパヘル)の【TAPP法】という手術を専門に行っています。
詳しくは腹腔鏡下手術(ラパヘル)の【TAPP法】のページをご覧ください。

手術成績

2024年10月の時点で478例の腹腔鏡下ヘルニア修復術(ラパヘル)を施行しています。
すべての患者さんに手術手技による合併症はなく、手術後の慢性疼痛患者さんも一例もいません。
痛みの非常に少ない、5,5,3㎜の超細径手術を行っています。
12月からは患者さんのご希望があれば、ご相談しながら日帰り手術を開始します。

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